工程1
杉の伐採
五橋の仕込水である、錦川の伏流水。今回の桶作りでは、その錦川上流の杉を使った。
高さ20m以上はあるであろう巨木を、次々と同じ方向に切り倒していく。まさに職人技。製材
伐採された杉は乾燥後、大阪堺市の(株)ウッドワーク(藤井製桶所)に運ばれ、製材された。
酒屋の桶はアルコールの飛散を防止するということから、「甲付(コウヅキ)」と呼ばれる、木の赤い部分(赤身)と白い部分(白太)の境目が最良の材とされている。そのため、なるべく甲付をたくさんとれるように製材する。切り揃え
製材された板材は、まだ長さがバラバラ。そこでまずは、出来上がる桶の高さに板を切り揃えていく。
2枚目の写真、製材のところで説明した「甲付」であることがよく分かるだろう。カンナがけ
次に、写真のような機械でカンナがけを行う。表面をなめらかにすることはもちろんだが、桶の内側になる面を、湾曲に削れるのが写真の機械の特徴である。しかし、実際は手で触ってみてもほとんど分からないほど、わずかな削り具合...。しかし、この操作をするのと、しないのとでは、後の工程に違いがでる。
幅の調整
写真のように赤身の部分が、木の幅いっぱいにない材料もある。横から見ると、2枚目の写真の上から2段目のように白い部分ばかりである。これをそのまま使用すると、アルコールの飛散を防止できないため、2枚目の写真の一番上のように横から見ても赤い部分が見えるように、幅を切って調整していく。これで桶の内側を向く面はすべて赤い部分(赤身)となった。
正直押し
桶は円筒形に組むため、側板の切断面が直角のままではピッタリくっつかない。
そこで側板同士がくっつく面を「正直台」という、中央にカンナがはめ込まれた台を使って削り、角度をつけていく。押す人が正直であれば、うまく削れるということからこの名がついたといわれている。押し切り
桶を横から見ると長方形ではなく、下部がすぼんだ台形になっている。
このようにするためには、側板の下の部分の幅を、更に削って狭くしておかなければいけない。
その作業を「押し切り」といい、正直台を使って角度を変えないように注意しながら削っていく。
板に何やら合わせて見ているが、これは「カマ」といい、角度を合わせるための定規のようなもの。