ひやおろし【1269杯目】

日本酒の楽しみ方のひとつは、季節折々の味わいが楽しめるというところにあります。
冬の燗酒、春先の新酒、夏の生酒、そして秋のひやおろしです。
冬から書き始めて秋で締めるあたりが、計算高さを物語っておりますが、
そのへんはお気になさらないよう。

秋を迎えると、店頭には「ひやおろし」コーナーなるものが出来たるするところもあるようですが、
悲しいかな、消費者のほとんどはこの「ひやおろし」が何たるかをご存知ないようで。
それでも、「ひやおろし」と書いてあるだけでなんとなくおいしそうに思えてくるから不思議です。
「メーカーがわざわざ書くくらいだから特別なお酒なんだろう」と深読みしてくださっているのかもしれません。

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しかし、そんな状態をほうっておくわけにはいきません。
なぜ「ひやおろし」というのか。
「ひやおろし」とはそういうお酒なのか。
知らなくてもおいしく飲めますが、
知っていれば話題も深まり、2倍3倍もおいしく飲めるのです。(たぶん)

春先に搾られた新酒は、一度火入れ(加熱処理)された後、
暑い夏の間をひんやりとした蔵で眠って過ごし、熟成を深めます。
やがて秋風が吹き始めたら、いよいよ目覚めの時。
ほどよく熟成されたお酒は二度目の火入れをせずに生詰めして出荷されます。

暑い夏の時期は菌に悪影響を与える菌が蔵内にいる可能性が低くありませんが、
タンク貯蔵している酒の温度と外気温とが同じくらいになる頃はその危険が低くなります。
なので、火入れをしない生詰が可能となるのです。
つまり、「冷や」のまま貯蔵用の大桶から木樽に「移(おろ)」して樽詰めしたことから、
このお酒は「冷移(ひやおろし)」と呼ばれるようになったのです。

もちろん細菌学が発達した今では、四季を通じて生詰することは難しいことではありません。
五橋でも一年を通じて一切の火入れを行わない本生酒の瓶詰も行うわけですから。
(それなりの対策は当然必要です)

そしてその「ひやおろし」の実力は?
豊穣の秋にふさわしい、旨みたっぷりの、まろやかでとろりとした円熟の味わいがその魅力です。
秋の深まりとともに〝夏越し酒〟 〝秋出し一番酒〟 〝晩秋旨酒〟と熟成もゆるやかに深まっていきます。
(日本名門酒会の「ひやおろし」の説明文を一部抜粋していますので、「夏越し酒」「秋出し一番酒」など、独特な表現を用いています。

五橋ももちろん「ひやおろし」を販売するんです。
しかし、残念ながら日本名門酒会のオリジナル商品となります。
お買い求めは最寄の「日本名門酒会加盟店」様まで。
普段楽しむことの出来ない、秋の風物詩をお楽しみください。

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