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其の81 濁ったお酒が人気です ~透き通ったおいしさがその秘密?~

 暦の上では秋となりましたが、まだまだ暑い時期が続きます。こんな時にはつめたく冷やした生酒や、清涼感を感じられる発泡清酒を、といいたいところですが、今回は少し趣向を変えて。とろりと白濁したお酒をご紹介いたします。
 白濁したお酒と言えば「にごり酒」が良く知られています。上槽の際に粗い目の布などで濾して、意図的に滓を残すことでどぶろくのような白濁した状態に仕上げます。滓に含まれている旨味や、醪独特の濃厚な香りや味わいを楽しむお酒で、秋口から春先にかけて人気のある季節性の高い商品です。
しかし、ここでにごり酒のご紹介をしたのでは芸がありませんから、夏バテ気味の体に優しく効く甘酒をご紹介いたしましょう。
 冬のイメージが強い甘酒ですが、実は夏の季語であり、これは夏期に甘酒を冷やして、暑気払いに飲む習慣があったことに由来しています。甘酒を夏に飲むことは、実は非常に理にかなっていたようなのです。
最近では、「甘酒は飲む点滴」などと謳われています。実際に甘酒の成分を調べてみると、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、葉酸、必須アミノ酸、そして大量のブドウ糖が含まれており、そしてこれらの栄養は病院の点滴とほぼ同じなのだそうです。図らずも、暑気払いだけでなく、栄養満点の健康飲料の効果をも持ち合わせていたようなのです。
 甘酒の起源は古く、日本書紀には甘酒の起源とされる天甜酒(あまのたむざけ)に関する記述があります。また、「一夜酒(ひとよざけ)」あるいは「醴酒(こざけ(「濃い酒」の意))」などとの呼称も古い文献に記されています。甘酒は「酒」の名は付いていますが、実際はアルコール飲料ではありません。見た目がいわゆる「どぶろく」に似ているため、「酒」の呼称がつけられたのでしょう。
 甘酒の製法は、酒粕を使った簡略的製法の方が一般に知られていますが、本来の甘酒は米と米こうじを原料としたものです。水分を多めに柔らかく炊いたご飯に米こうじを加えて、一晩程度 ℃~ ℃で保温し、米のデンプンを糖化させて造ります。「一夜酒」と呼ばれたのはまさに一晩でできることに由来しているのです。
酒粕を原料とした簡略的製法は、湯に酒粕を溶き、砂糖で甘味をつけるといったごく簡単なもの。米と米こうじで造った甘酒に比べれば風味は劣りますが、手軽で失敗が少ないため、現在ではこちらの製法が一般的になっています。
 奈良時代の歌人である山上憶良は、「貧窮問答歌」において「糟湯酒」と書き記した歌を残しています。このことから当時、すでに酒粕による甘酒があったことがうかがえます。ただ、この時の飲まれ方は体を温めるための冬の甘酒。夏は暑気払い、冬は体を温めるため、といった使い分けがされていたのでしょうか。

貧窮問答歌【一部抜粋】
風雑(まじ)り 雨降る夜の 雨雑り 雪降る夜は 術(すべ)もなく
寒くしあれば 堅塩を 取りつづしろひ 
糟湯酒 うち啜ろいて 咳(しわぶ)かひ 鼻びしびしに

【訳】風まじりの雨が降り、その雨にまじって雪も降る。そんな夜はどうしようもなく寒いから、堅塩を少しかじっては糟湯酒をすすり、咳をしては鼻水をすすり上げる。


 先に、『見た目がいわゆる「どぶろく」に似ている』と書きました。甘酒と「どぶろく」の決定的な違いはアルコールが含まれているか否かにあります。甘酒は一晩で仕上げてしまうため、アルコール発酵するほどの時間がありませんが、どぶろくの場合はアルコールを得ることを目的に作られているため、醪日数が相当数あり、結果として清酒と同程度のアルコールが含まれる酒類となります。
 「どぶろく」の語源は定かでありませんが、平安時代以前から米で作る醪の混じった状態の濁酒のことを濁醪(だくらう)と呼んでいたのがなまって、「どぶろく」になったという説が一般的です。また、製造が容易で家庭でも簡単に造ることができるため(戦中、戦前は家庭で作られる例があった)、「密造酒」のイメージが強く、密造酒を「どぶろく」と称することがあります。
 わが国において「どぶろく」歴史は米作とほぼ同起源であると云われていますが、明治時代に主要な税収源であった酒税の収入を減らす要因であるとして、農家などで生産、消費されていた「どぶろく」が酒税法により禁止されました。そのため現在では「どぶろく特区」などの例外を除き、一般にどぶろくと出会う機会はありません。
 また、白酒(しろざけ)というお酒もあります。白酒は糯米(もちごめ)と米麹を焼酎(またはみりん)とともに仕込み、約一ヶ月間熟成させ、その後すりつぶして飲みます。酒税法上ではリキュールに該当し、アルコール度数は9%程度で、非常に甘いのが特徴です。ひな祭りのお祝いに供されることでよく知られてはいるのですが、甘酒と混同されていることが多いのが現状ではないでしょうか。
 先に書いたように甘酒にはアルコールは含まれていません。しかし、「うれしいひな祭り」の歌詞の中に「少し白酒召されたか。赤いお顔の右大臣」というのがあります。これこそがひな祭りに供されるのは甘酒ではなく、アルコール飲料である白酒であるいうれっきとした証拠なのです。
 最近、注目を集めている白濁したお酒が韓国の大衆酒、マッコリ(マッカリ、マッコルリとも)です。マッコリは米を主原料とする醸造酒(濁酒)ですが、小麦粉を添加したものが多く見られます。ここが米と米こうじを原料とするどぶろくとの大きな違いです。
 またサツマイモ【コグマ】を主原料とするコグマ・マッコリや、とうもろこしを主原料とするオクチュもマッコリに分類されており、マッコリの主原料とはなにか、明確な定義がはっきりしません。
 また火入れをせずに発泡性を有するマッコリを特にドンドンジュ、火入れしたものがマッコリと区別される場合もあるようですが、こちらも明確な定義がないようです。
 いずれにしてもマッコリはつめたく冷やして夏場に楽しまれることが多いようですが、本場韓国ではその需要は減っており、日本では韓流ブーム以来、少しずつその売り上げを伸ばしているようです。法的な問題や時期的な問題で、どぶろくや白酒はいつでもどこででも楽しめるといった類のものではありませんが、にごり酒や甘酒、マッコリは比較的容易に楽しむ機会を得ることができます。
 まずは夏の暑さで疲れた体を甘酒で癒し、にごり酒などを楽しまれてはいかがでしょうか。

※「どぶろく特区」平成十四年の行政構造改革の名のもとに、設けられた特別区域。祭などの行事に使う目的での製造や、飲食店や民宿等での販売(その場で消費することが原則)が許可されている。

 


 炊飯器で作るかんたん甘酒レシピ
【材料】麹/450グラム、米/3合


①白米(またはモチ米)3合を柔らかめに炊く
②米麹を加えてよく混ぜる
③炊飯器のフタを開けたまま布巾をかぶせ、炊飯器を「保温」にする
④温度は55℃~60℃でキープ
⑤時々しゃもじで潰しながら混ぜ、6~8時間おけばできあがり。
⑥できあがった甘酒は、お好みの濃度に薄めてどうぞ。
 栄養豊富な甘酒は、「ジャパニーズ・ヨーグルト」と呼ばれることもあるようです。本来、ヨーグルトは乳に乳酸菌や酵母を混ぜて醗酵させて作る醗酵食品のことですから、米と米こうじが原料の食品がヨーグルトと称されること自体、全くの筋違いなのですが、甘酒に健康的なイメージがあるということなのでしょうか。
 腸内環境を整える効果も期待されているようですから、朝ごはんにもオススメです。


これぞトラタン村の真骨頂!


 今さらですが、弊社が山田錦の契約栽培を行っている「トラタン村」の名前は「取らぬ狸の皮算用」に由来しています。ホラを吹きながら、皮算用しつつ、そしていつの間にかそれを実現させる人たちのコミュニティが「トラタン村」なのです。
 ホラが取らぬ狸の皮算用で終わらないようにタヌキを村のキャラクターとして、日々、夢や希望の「ホラ」を吹くトラタン村民たち。トラタン村民達の哀愁問答歌とも言えるような悲哀に満ちた詩がこちら。そして、皆さまにお届けする商品がこちら「トラタン ひやおろし」です。
 「トラタン ひやおろし」は契約栽培の山田錦の中で、等級がつかなかったものを原料米に醸した純米造り【酒税法上では普通酒】の清酒です。トラタン村民の想いがたっぷり溶け込んだ、ロマンあふれる酒質をどうぞお楽しみください。
 

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指折り数えた米俵。気がつきゃ無念の規格外米。あ~あ、取らぬ狸の皮算用。

規格外米とはいうけれど、手間暇かけたワシの米。きっとおいしい酒になる。

そしたらみんな喜んで、「うまい。うまい。」と飲むじゃろう。あ~あ、これも狸の皮算用・・・

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