1. TOP
  2. 蔵元だより

蔵元だより

蔵元だより

其の77 醸造酒?蒸留酒?混成酒?~酒類の製造方法はこんなに違う~

前回の蔵元だよりでは、酒税法上の酒類の分類についてご紹介させていただきましたが、一口に醸造酒や蒸留酒、混成酒などと言ってみても、実は良く分からない方が多いというのが現実のようです。
 お酒を楽しまれる際に、その製法について考えるというようなことをする訳はないのですから、当然といえば当然なのですが、少し前までは「グルメ大国」を謳っていた日本国民。やはり多少は知っておきたいものです。醸造酒、蒸留酒、混成酒、それらは全く異なる飲み物なのですから。
 醸造酒とは、原料に含まれる糖分を酵母によりアルコール発酵させて作られた酒類をいい、これには清酒、ワイン、ビール等が該当します。(ビールは現行の酒税法上では酒類の種類は発泡酒類に分類)
 微生物(酵母)が醪中の糖分からアルコールを生成(醗酵)することによる、自然発生的な方法でアルコールを得る製造法だと言えます。
 発酵の形態は大きく単発酵と複発酵とに分けられ、さらに複発酵は単行複発酵と並行複発酵とに分けられます。
【単発酵】
(ワイン等が該当)
 原料が糖分を多く含む場合、酵母さえあればそのままアルコール発酵させることができます。すこし乱暴な言い方ですが、ブドウをつぶして容器に入れておきさえすれば、勝手にアルコール発酵が行われ、ワイン(果実酒)ができます。 この発酵形態が単発酵です。糖分を含む果実などを原料にした酒、例えばワインやシードル(リンゴ酒)、乳酒などがこれに該当します。
【複発酵】
(日本酒やビール等が該当)  原料が米や麦などの場合、原料そのものに糖分が含まれていないため、原料に含まれているデンプンをまず糖に変える工程が必要となります。
 日本酒の場合は米を蒸すことでデンプンをα化(糊化)させます。そうすることで麹菌がそのデンプンをブドウ糖に分解しやすくなります。
 また、ビールの場合は大麦を発芽させ(麦芽に変え)ることでデンプンを糖化しているのです。糖化という第一段階を経て、第二段階で酵母によるアルコール発酵を行う形態を複発酵といいます。 この複発酵の中で、糖化を行った後に酵母を添加する方法を単行複発酵、醪中でデンプンの糖化とアルコール発酵の2つの工程が同時進行で行われる方法を並行複発酵といい、前者にはビール等が、後者には日本酒等が該当します。
 蒸留酒とは、醸造酒を蒸留して作られた酒類をいいます。蒸留酒を製造するには、まず酒ありきだといえます。アルコール含有物を蒸留することで蒸留酒が作られます。醸造酒が自然発酵的にアルコールを得るのとは異なり、蒸留酒はアルコールを工業的、人為的に取り出して作られるものとなり、一般的にアルコール度数は高くなります。
 酒類の種類としては蒸留工程を一度しか行わない単式蒸留焼酎(前酒税法によるところの乙類焼酎)と、複数回蒸留を行うことでより純粋なアルコールを取り出す連続式蒸留焼酎(同、甲類焼酎)とがありますが、今回は詳しく触れません。
 蒸留の原理を簡単に説明いたしますと、酒はアルコールと水を主とするその他の成分が混合した状態にあります。アルコールの沸点は約七十八度、水の沸点は約百度ですから、酒を加熱すればアルコールの方が先に蒸発することになります。このとき発生する蒸気を冷やしてやると、液体(アルコール)に戻ります。これが蒸留の原理です。
 混成酒が一番理解しやすいかもしれません。
その名の通り、混ぜて成った(作った)お酒です。ある酒類に何かを加えることで混成酒になるのです。例えば焼酎にオレンジジュースを混ぜたものがリキュールになるように、アルコールに清酒や糖類を加えれば合成清酒、焼酎にもち米、米こうじを加えればみりんになります。(これは大まかな流れだけの説明で、実際にはその製造方法は酒税法により、厳密に定められています。)

kote.jpg

 図1は醸造酒、蒸留酒、混成酒製造の大まかなイメージです。アルコールを得るためには、酵母を利用した自然発生的な醸造が必要です。ここでは、米を原料に清酒(醸造酒)を造ったとしましょう。
 そして、その清酒を蒸留機で蒸留することにより、新たな酒類が得られます。この場合、原料が米ですから、米焼酎(蒸留酒)になります。
 さらに、この米焼酎に果汁を混和することで、リキュールという新しい酒類を製造することができます。(もちろん、清酒に果汁を混和してもリキュールになります)
 この理屈からいくと、例えば大麦を原料にビール(醸造酒)が造られて、それを蒸留するとウイスキー(蒸留酒)に、ブドウを原料にワイン(醸造酒)が造られて、それを蒸留するとブランデー(蒸留酒)になるという流れです。
 混成酒は醸造酒でも、蒸留酒でも相手を選びません。何らかの酒類に果汁であったり、別の種類であったりを混和することで造られます。
 もう一つの酒類の種類である発泡酒は発泡性を有するものですから、これに関しては特に解説は必要ないと思います。
 ここまでで大まかなイメージはつかんでいただけたのではないかと思います。
 醸造酒、蒸留酒、混成酒、もちろんどれが良くて、どれが悪いというレベルの話ではありません。また、どれがおいしくて、どれがおいしくないという話でもありません。 製法によって、それぞれの味わいや性質が違うということです。
 酒類の製法の違いに触れることで、また、お酒への関心を深めていただくことで、皆様の酒ライフが幅広いものになればこの上ない幸せでございます。酒の席での話のタネの一つにいかがでしょうか。
 ただ、酒席での蘊蓄の披露は時に煙たがられる場合がありますので、くれぐれも控えめに・・・
 
 【参考文献】
   酒税法等の改正のあらまし
     平成十八年四月 税務署発行
 

 木桶2本目導入決定!

kiokenosyashin.jpg

一昨年の八月に岩国産の杉で作られた木桶を導入いたしました。
古くて新しい、木桶による清酒醸造への取り組みは、メディアからの関心も高く、山口放送で一時間の特別番組が放送されたほどです。
 弊社では、この木桶仕込みへの取り組みをさらにもう一歩踏み込むべく、二本目の木桶を制作することにいたしました。
 前回は桶作りの現場に、製造部の社員を一名だけ派遣したにとどまりましたが、今回は製造部の五名が、タガ作り、カンナがけ、底込み等の作業を体験、見学してまいりました。
 わずかとはいえ実際に桶作りの現場に携わったことで、木桶仕込みへの熱意も新たになったようです。
 今度の木桶は「吉野杉」製。桶材の中で最高とされる杉です。製桶所の職人さんからは「アクが少ない分、管理は楽。」だと言われたとのことですが、管理云々よりも皆様が期待されるのはその酒質でしょう。
 二本目の木桶導入は八月二十六日を予定しておりまして、そのサイズは一本目とほぼ同じ(約三〇〇〇㍑)。岩国産の桶と吉野杉の桶。どのような違いが現れるのか、どのような酒質になるのか、それは皆様の舌でお確かめください。

 「ひやおろし」という名の秋を楽しむ

世界に酒多しといえども、日本酒ほど季節感を演出できる酒類は他に例がないのではないかと思います。これも四季のはっきりした日本に生まれた日本酒ならではの特徴でしょう。
 冬の「搾りたて」はいうに及ばず。心も体も温まるお燗酒もまた、冬に恋しい楽しみ方の一つ。
 春のお花見にかかせないアイテムはやはり日本酒。夏は定番のキンと冷えた生酒、氷を浮かべたロックも楽しめます。
 そして、これから迎える秋。秋に楽しめるお酒には、ここ数年注目度の高い「ひやおろし」があるのです。
 というわけで、酒席で使える「お酒薀蓄」をひとつ。「ひやおろし」とはどういうお酒なのか?
 春先に搾られた新酒は、一度火入れ(加熱処理)された後、暑い夏を涼しい蔵の中で静かに熟成を待ちます。
 やがて秋風が吹き始めたら、いよいよ目覚めの時。通常は出荷(瓶詰め)する際に二度目の火入れを行うのですが、「ひやおろし」は二度目の火入れをせずに生詰めで出荷されます。
 これはその昔、秋になって涼しくなったタイミングで、貯蔵用の大桶から木樽に「冷や」のまま「移(おろ)」した「冷移(ひやおろし)」に由来します。
 桶内のお酒と外気温が同じくらいになれば、生のまま瓶詰めしても雑菌による汚染(火落ち)の心配が低くなることからこのような「ひやおろし」という出荷方法(商品)が誕生したのです。まさに「ひやおろし」とは秋の到来を告げる商品だと言えるのではないでしょうか。
(※現代では、出荷管理方法が設備的、技術的、知識的に確立されていますので、真夏であっても、生詰は可能となっております)
 豊穣の秋にふさわしい、旨みたっぷりの、まろやかでとろりとした円熟の味わいが魅力の「ひやおろし」。秋の深まりとともに熟成もゆるやかに深まっていきます。
 季節感を感じにくくなった昨今ですから、なおさら「ひやおろし」で秋の夜長を楽しんでいただきたいものです。
 ところで、上でも触れましたが、酒席での蘊蓄は控えめに…




 

バックナンバー

五橋 -GOKYO-

五橋とは

五橋製造工程

トラタン村

樽OK

五橋ブログ

蔵元見学

イベント情報

メディア掲載歴

蔵元だより