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蔵元だより

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其の70 日本酒が地球を救う ~古くて新しい、木桶造りの日本酒 その1~

平成19年8月31日に納品された新桶。いよいよ、「古くて新しい」取り組みである、木桶仕込みが本格的に始動します。現在は強すぎる木香を抑えるための湯籠り(お湯を張って、木のアクを抜く作業)を行い、年明けに行う予定の仕込みに向けた準備を行っています。

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ところで、木桶といえば、当然のように昔からあった道具の一つです。いや、昔からあったというよりは「昔はあった」と言ったほうが正しいのかもしれません。近代化、合理化の名のもとに忘れ去られようとしていた日本の伝統的な道具。木桶そのものを見ることすら珍しくなった昨今、その製造工程といえば、まさに知る機会もほとんどありません。それもそのはず、タンクのステンレス化やホーロー化の波が激しく、木の桶を作ることができる業者さんは国内に数社しか残っていないのだとか。

弊社では木桶の文化の継承と、導入後のメンテナンス等の必要から、今夏大阪の㈱ウッドワーク様に社員を一人派遣し、桶作りの現場を体験させてきました。 前回の蔵元だより(NO.69)で桶について少しご紹介をさせていただきましたが、今回は新桶の制作時に研修に行った製造社員の研修報告資料をもとに、桶作りの工程ついてご紹介させていただきます。  まずは、「桶材の木取り」について、酒屋用の桶は、アルコールの飛散防止のために「甲付き」と呼ばれる部分を使用します。左の図を見ていただいても分かるように、用材として使える部分は限定的で、良く言えば贅沢、悪く言えば非効率な部材取りにならざるを得ません。桶作り、なかなか簡単なものではないようです。

=桶作りの工程=

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①杉の選定、伐採、製材、切り揃え 今回木桶を作るのに使用した材料は錦川上流の杉。20メートルを超えるスギを伐採し、乾燥、製材します。酒屋用の桶はアルコールの飛散を防止するということから、「甲付(コウヅキ)」と呼ばれる部分がたくさんとれるように製材します。その後、出来上がる桶の高さに板を切り揃えます。桶用の杉には吉野杉が好んで使われるようですが、弊社はここでも「地産地消」。こういったところにもこだわりがあるのです。


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②カンナがけ、幅の調整
桶の内側になる面を、湾曲に削ります。この工程では手で触ってもほとんど分からないくらい、わずかしか削らないそうです。しかし、これをやるとやらないとではのちの工程に大きな影響がでるようです。そしてカンナがけが終わると、幅の調整。写真のような赤身の部分が木の幅いっぱいにない材料をそのまま使用すると、アルコールの飛散を防止できないので、幅を切って調整します。こうして桶の内側を向く面をすべて赤身にします。


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③正直押し、押し切り
桶は円筒形に組むため、側板の切断面が直角のままではピッタリくっつきません。そこで「正直台」という特殊なカンナ台を使って角度をつけながら削ります。その後に「押し切り」という作業を行います。これは出来上がった樽の下部をすぼんだ形状にするために、側板の下の部分の幅を削って細くする作業です。


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④穴あけ、ハギつけ、送りハギ・仮締め
側板同士をくっつけるため、側板に穴をあけます。開けた穴に竹釘を差込み、3~5枚を一組としてくっつけます。穴をあける位置・幅を一定にしないとちぐはぐにくっついてしまい、滑らかな丸い桶にはなりません。地味だけれども、重要な作業のようです。3~4枚ずつハギつけた側板を桶の形に丸く組んでいきます。すべてのハギつけが終わると、金属のタガで締めあげます。この工程でようやく桶の形が見えてきました。


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⑤アリを書く
側板が組みあがったら、底の入る部分をカンナで削り(アリを書く)ます。アリが書けたら、カナヅチで叩き、木を凹ませます。こうすることで、水が入ったときに膨らんで漏れにくくなるそうです。


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⑥底板削り、底板ハギつけ、底板切り
側板が甲付を使ったのに対して、底板は全て赤身(木の中心部分、成長が止まっているため、固い)を使います。アリをかいた部分の円周を測り、その長さに合わせて底板を切っていきます。


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⑦竹タガ編み、芯作り、タガ入れ
 桶がバラバラになるのを防ぐために巻くタガを竹で編んでいきます。そしてタガの内側には竹タガが潰れるのを防ぐ「芯」が入っています。編み方も複雑で、芯を作るのも重労働。かなりの難作業のようです。タガが編み終わったら、桶に上からはめて(この時点では桶はひっくり返されているので、底部からはめることになります。)、木槌で叩きこみます。


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⑧底板入れ、底込み
逆さになっていた桶を起こし、底板を入れます。少しずつ木槌で軽くたたき、底が平らに入るよう調整していきます。この後、いよいよ底を本気で叩き込む「底込み(別名:胴突き)」の作業です。底込みでは、桶の中に1人入り、上に2人が立って一本の木を掛け声と共に持ち上げ、底を突いていきます。目的の位置まで底板が入ったときに、平行になるようにしなければならないため、数mmずつの慎重な作業です。完成までもう少し。


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⑨最終仕上げ
角を取り、カンナをかけ、タガをバーナーで焼き、いよいよ最終仕上げです。「娘を嫁に出すような気分」だと職人さんたちが言われていたそうですが、それだけ心をこめて制作してくださったということなのでしょう。それだけに感慨もひとしお。この工程は笑顔の中で行われたとのことです。


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⑩完成
10日間の作業期間を経てついに完成。1年ほど前には、錦川上流に立っていた杉が、約3900L入りの桶になりました。この桶で醸される酒はどれほど芳醇でどれほど味わい深いものになるのでしょうか。仕込みは来春、そしてその酒が商品として発売されるのは来秋の予定です。

ページの都合もあり、大まかな形でのご紹介でしたが、大体の流れと雰囲気はお分かりいただけたと思います。詳細は弊社サイト内の「桶作り日記」でご紹介しておりますので、そちらをご覧ください。

風が吹くと桶屋が儲かる

桶にまつわることわざの一つに、「風が吹くと桶屋が儲かる」というのがあります。比較的多くの方が知ってらっしゃることわざですが、その理由が知られていないことが多いことわざでもあります。冷静に考えれば荒唐無稽なトンデモ理論なのですが、どうした理由で風が吹くと桶屋が儲かるのか、ご紹介させていただきます。①風が吹くと、ホコリが舞う。②そのホコリが目に入ると眼病になる。③これが悪化すると盲人になってしまう。④盲人になると三味線を習いだす。⑤三味線が売れれば猫の皮が必要になる。⑥猫を捕らえると、ネズミがのさばる。⑦怖いものなしのネズミどもが、桶をみんなかじってしまう。⑧そこで、おかみさんたちが新しい桶を買いに来るので、桶屋が儲かるというお話のようです。 「日本酒が売れると、桶屋が儲かる」では、当時では当たり前すぎてことわざにはならなかったんでしょうね。

=五橋冬の風物詩 初しぼり ご予約受付開始!!=

冬が来れば思い出す。しぼりたてのあの旨さ。今年もこの時期がやってまいりました。すっかり冬の風物詩として定着した「五橋 初しぼり」。蔵人も思わず「美味い!」と唸るその酒質。平成19年産新米のみを原料米に醸す、今酒造期第1号の搾りたて。今年も醪を搾る途中の中垂れのみを瓶詰めして、新鮮な風味そのままにお届けいたします。1年ぶりのあの感動をお楽しみください。平成19酒造年度「初しぼり」は11月28日発売です。

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五橋 初しぼり   【ご予約締切日:平成19年11月22日】
原材料 : 米・米こうじ・醸造アルコール原料米および精米歩合: 日本晴(70%)【平成19年産山口県産米使用】
アルコール分 : 19度以上20度未満
容量および価格 : 500ml詰 840円【税込】(化粧箱は別売です)
最寄りの小売店様または酒井酒造(株)までお申込ください。


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