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蔵元だより

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其の69 日本酒が地球を救う ~酒屋とリサイクル(3)~

経済産業省を含むリサイクル関係8府省は、毎年10月を「3R(スリーアール)推進月間」(リデュース・リユース・リサイクル推進月間)と定め、循環型社会形成の推進を図っています。3Rとは、資源の無駄遣いをなくしごみを減らす「Reduce」、一度使用された製品をそのまま、または使える部品を再使用する「Reuse」、そして資源を再生利用する「Recycle」のことをいい、限りある資源をできるだけ有効に使い、環境と経済を両立する「循環型社会」のキーワードとなっています。

しかし日本においては、3Rのなかで特にリサイクルだけが活発に推進されているのが現状です。環境問題、ゴミ問題への対応を考えていくうえで、最初に提唱された動きがこのリサイクルだったからなのかもしれません。しかし、循環型社会形成推進基本法では、リサイクルが自己目的化しないよう、リデュース、リユースより下位に位置づけられています。

それは大量生産→大量消費→大量リサイクルでは環境負荷の低減には結びつかないからなのです。リサイクルではいったん原料に戻すため、再製品化の過程で多くのエネルギーを使い、環境負荷が大きくなってしまいます。しかもその再生商品の質に問題がある場合もあります。例えばリサイクルの代名詞ともいえるペットボトルは、「高分子化合物で、同じペットボトルにすることは現時点での技術では困難なだけでなく、リサイクルすることにより石油とコストがより多くかかってしまう。」のだそうで、分別回収されたもののうち、実に9割以上が焼却処分されているのが現状で、リサイクルされてはいないのです。

しかし、ガラス瓶となると話は別です。ビール瓶や一升瓶のようないわゆるリターナブル瓶(以下、R瓶)はそのまま洗浄してリユースされますが、ワンウェイ瓶は破砕され(カレット)、リサイクルに回されます。カレットはガラス原料から直接ガラスを製造するよりも材料としての純度が安定していて、より少ないエネルギー量で瓶に加工できるとされています。

リユースをするにしても、リサイクルをするにしても環境への負荷が少ないガラス瓶ですが、一升瓶の流通量は、ピーク時の約15億本から約3分の1以下に減少、回収率90%超を誇るビール瓶もアルミ缶にシェアを奪われているという状態です。その一方で、環境負荷の高いペットボトルやアルミ缶の流通量はそれぞれ上昇に転じているとのことです。数年前にも蔵元だより(NO.53)の中でご紹介させていただきましたが、飲料容器すべてをR瓶に代えた場合、二酸化炭素の年間排出量は約135万8千トンから約58万3千トンに減り、すべてをペットボトルにすると逆に約150万トンに増えるとされています。また、廃棄物として埋め立てられた飲料容器は98年が約140万トン。すべてをR瓶にすると15万トンに減るとの試算(東大生産技術研究所)がされています。ペットボトルもアルミ缶も分別回収だけされて、そのほとんどは焼却あるいは埋め立てられているのが事実であれば、確実に環境破壊は進行しているといえるでしょう。

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弊社においては、一升瓶はそのほとんどが回収瓶使用によるリユースです。「五橋 本醸造生酒」に使用している300ml瓶は4年前からR瓶を採用。その他の瓶については回収ルートが確立されていないことからほとんどがワンウェイ瓶を採用することとなっていますが、先に書いたとおりワンウェイ瓶であっても、カレットとして新瓶製造のための良い原料として利用されていることと推測しています。

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確かにガラス瓶には重くて割れやすいというデメリットがあります。また、回収には手間がかかり、瓶商(江戸時代の「樽商」を起源とする、使用済み瓶の回収業者)や酒販小売店では一時保管の場所を確保しなければなりません。さらに複数回使用することで、瓶の表面には擦り傷が入り、見た目が悪いということもあるでしょう。しかし利便性の追及や潔癖症が、現在騒がれている地球温暖化や資源の枯渇の一因であることも否定できません。奇麗事であることを承知で言えば、重いガラス瓶を運ぶのも、割れやすいガラス瓶を注意して取り扱うのも、地球を守る行為なのです。回収瓶の表面にある擦り傷は環境を守った名誉の勲章だと言えないでしょうか。

江戸時代の社会は、循環型社会でした。ごみを減らすためには、ものを大切に最後まで使いつくすという考え方が、自然に循環型社会をうみだしていたのです。例えば酒の流通に関していえば、日本酒は木の樽に入れられ運送されていました。そこからさらに小さな樽に分けられ、そこへ消費者が自分の徳利を持って買いに行くという形が一般的でした。消費者の徳利は自分で洗って再使用するというのはいうまでもありませんが、木樽の箍(たが)が折れたり、ゆるくなったりすれば箍屋が修理していましたし、古くなった空き樽を専門に回収する業者もありました。最終的には樽は燃やされて灰になりますが、その灰までも回収する専門業者があったというから驚きです。

現在、世界で注目されている日本発の「もったいない」の言葉。この言葉こそが、使い捨て文化と呼ばれる現代の日本に生きる私たちにとって、循環型社会の形成を推進するためのキーワードなのではないでしょうか。現実的には「日本酒が地球を救う」ことはないのですが、ガラス瓶を積極的に利用し、再使用することが環境負荷の低減に役立つことは事実です。10月は「3R推進月間」。皆様のご協力が必要です。

「トラタン ひやおろし」9月10日発売!

=これぞトラタン村の真骨頂!=

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「猿も木から落ちる」とはよく言ったもので、得手としていることでも、時には思い通りにいかないこともあるもので・・・ 弊社が山田錦の契約栽培をお願いしているトラタン村で、3年ぶりの規格外米が発生してしまいました(平成18年産)。稲の開花時期に強風に襲われたり、夜に気温が下がらなかったりと、稲作には悪条件が重なった結果の規格外米の発生です。

しかし、トラタン村民たちが丹精こめて育て上げた山田錦です。等級こそ付きませんでしたが、きっとおいしいお酒になるという思いからこの規格外の山田錦のみを原料米に、一切のアルコール添加を行わない「純米造り(酒税法上では『普通酒』に分類)」で、1本の仕込みを行いました。

その結果醸された酒は、タンクの中で一夏を越し、見事に調熟。ふくよかな香り、柔らかな口当たりの中に米の旨味を十分に感じられるお酒に仕上がりました。これぞ「取らぬ狸の皮算用」の精神を持つ、トラタン村の真骨頂。トラタン村民の思いが溶け込んだこのお酒を「トラタン ひやおろし」としてお届けいたします。

※「トラタン」とは取らぬ狸の皮算用に由来する造語です

ひやおろしって何?

夏を過ぎ、少しずつ気温が下がってくる秋。タンク内の酒の温度と外気温がほぼ同じになるころは、微生物による汚染(火落ち)の心配が少なくなってくる。そこで、貯蔵用の桶から出荷用の樽に移す(おろす)際に、火入れを行わずに「ひや」のまま生詰めしたことから「ひやおろし」と言われるようになった。残暑厳しい折ではありますが、「ひやおろし」は秋の風物詩。世界広しといえど、これほどまでに季節を感じることができるお酒は日本酒だけです。暑い夏が終わったら、ジョッキをおいて、ひやおろしで月見酒なんていかがでしょうか?

桶OK!

~古くて新しい取り組み、桶仕込み清酒、本格始動に向けて~

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産業が発達していくと、忘れられてしまいがちなのが古い設備。古い時代にはそれで十分だったものが近代化、合理化の名のもとに忘れ去られてしまいます。かくいう酒造業界もいわゆる「昔」の風景が見られることはほとんどなく、大手メーカーなどは完全に工場の様相となっています。もちろん弊社でも、ステンレスやホーローのタンク、製造工程の多くに設備投資を行ってまいりました。

昔と比べて、確かに酒造技術は進歩しました。安定した高い酒質を保てるようにもなりました。設備の管理も容易になりました。近代化、合理化万歳といったところでしょうか。いや、違います。確かに近代化、合理化は必要です。これを否定することはありません。しかし何かを、大事な何かを忘れてしまっていました。

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「温故知新」。これが、足りない何かを見つけてくれるキーワードでした。そして、原点へ。木桶による酒造りへの胎動が始まっています。詳細は次号蔵元だよりでご紹介させていただきますが、とりあえず、さわりだけ。実は今夏、製造社員を木桶作りの現場に派遣して、桶作り修行(研修)をさせてきました。作った桶はもちろん弊社が実際に仕込みを行うための新桶です。木のぬくもりと、木の香りに包まれて醸される酒は、どのようなものになるのでしょうか。木香をたっぷりと含み、芳醇でふくよかな旨味を持つ酒になるのでしょうか。今酒造期に新桶による仕込みが行われる予定となっております。ご期待ください。

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