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蔵元だより

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其の57 酒母、偉大なる酒の母

酒を生み出すためにはその母となる、酒母が必要です。酒母とは「蒸米、米麹、水の混合物の中にアルコール醗酵を行う酵母を、大量かつ純粋に培養したもの」をいいます。昔から「1麹、2もと(酒母)、3造り」といわれ、酒母は酒質のよしあしを決定付ける重要なファクターの一つであり、文字通り酒の母なのです。

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酒母は開放状態で醗酵するため、雑菌の侵入が比較的容易です。この環境下で健全な醗酵をするには、酸性に弱い雑菌を淘汰するために、多量の乳酸を含む酸性の状態にしてやることが不可欠です。このことにより、清酒酵母だけを純粋に増殖させるのです。

酒母は酸性にする方法によって、乳酸菌を自然増殖に導く「生もと系酒母」と醸造用乳酸を添加する「速醸系酒母」とに大別されます。生もと系酒母は江戸時代に考え出された、我が国特有の酵母の自然純粋培養法です。まず、蒸米、麹、水を仕込むと、硝酸還元菌が仕込み水中の硝酸塩を還元して亜硝酸を作ります。と同時に麹などに付着している乳酸菌が自然に増殖します。乳酸菌は乳酸を生成し、酒母中を酸性化します。このことにより雑菌の侵入を防ぐのです。このような方法は世界に例を見ません。

乳酸菌は亜硝酸に強いので、生育を阻害されませんが、酸には弱いため自ら作った乳酸により減少します。硝酸還元菌も同様に乳酸に弱いので、乳酸の増殖に伴い死滅し、亜硝酸は作られなくなります。最後に乳酸菌は酵母が作ったアルコールによって死滅するのです。この結果、酒母の中には多量の乳酸と清酒酵母だけが存在することとなります。科学的分析技術のなかった江戸時代にこのような方法で微生物の働きを利用していたというのは特筆すべきことです。(工程は右表を参照のこと)

一方速醸系酒母は明治43年ころに確立された方法で、工程の初期で乳酸添加をすることにより雑菌の増殖抑制、淘汰を実現しました。また純粋培養酵母を大量に添加、増殖させることで高い酵母純度が得られます。この速醸もとによって時間と手間が飛躍的に軽減されることとなりました。速醸もとは約2週間で完成します。この方法では乳酸菌、硝酸還元菌は登場しません。生もと系とちがって気温に影響されにくい、品質が安定しやすい等のメリットがあるため現在では95%以上が速醸もとでの酒造りをしているといわれます。

母親の性格が子に伝わるようで、一般的に生もと系のお酒は酸味が強く、力強い味わいのお酒になるといわれます。そして生もと系のお酒は燗酒にぴったり。旨味さらに充実し、酌めども尽きぬ至福のひと時へと貴方を誘うことでしょう。伝統的製法によって醸される生もと系清酒。是非一度お試しください。

参考文献:
酒の民族文化誌
窪寺紘一
灘の酒 用語集
酒研究会
日本酒百味百題
小泉武夫

きもと系酒母の工程の概要

①【水麹】半切り桶(たらい状の桶)に冷たい水と米麹を入れてかき混ぜ、しばらく置いて酵素を出させる。
②【仕込み】その中に冷やした蒸米を加えてかき混ぜる。
③【荒櫂(もとすり)】水分が蒸米と米こうじに吸い込まれた頃に、櫂で糊状にすりつぶす。
④【打瀬(うたせ)】すりつぶした物をそのままおいて、6~8度の品温に保ち、撹拌、蒸米の溶解を進める。
⑤【もとよせ】もとすりが終わると半切り桶から酒母タンクにもとをよせ硝酸還元菌の増殖を待つ。
(次第に乳酸菌が生えて乳酸を生成し、有害バクテリアなどを殺す)
⑥【暖気(だき)】暖気樽(湯たんぽのようなもの)を入れて、1日に1度ずつ位温度を上げていく。
(この間、蒸米は酵素により分解され糖化が進み、微生物が生えてくる準備ができてくる)
⑦【酵母添加】酵母を添加する。酵母は増殖をはじめる。
⑧【もと分け】酵母を休ませるために、半切り桶に分割して酒母の品温をさげる。
⑨【枯らし】そのまま低温放置する。

こうして約30日間かけて生もとが完成する。

誰もが知ってる(?)山廃仕込み

「山廃仕込み」。テレビコマーシャルなどで誰もが一度は耳にしたことがあるでしょう。しかし、その製法は?生もと系酒母の工程の中にある?すりの作業を「山卸し」といいます。この作業は重労働のため、明治42年に?すりを行わずに、酒母タンクに物量を仕込んで荒櫂ですりつぶす方法が考案されました。山卸しを行なわないので、これを山卸し廃止もと(山廃もと)というのです。

「トラタン ひやおろし」9月9日発売!

=これぞトラタン村の真骨頂!= 

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「猿も木から落ちる」なのか「河童の川流れ」なのか、昨年、トラタン村での契約栽培の山田錦に一部、規格外米がでてしまいました。もっともあの冷夏ですから仕方がないといえば仕方ないことなのですが。 弊社ではこの規格外の山田錦だけで1本の仕込みを行いました。酒税法により純米酒には該当しませんが、アルコール添加を行わない「純米造り」の清酒です。トラタン村民の思いがたっぷり溶け込んだ「トラタン」をひやおろしでお届けいたします。

※規格外米(水分が多い、被害粒、死米などが混入しているなどのため、検査基準からはずれている水稲粳玄米をいう)だけでの仕込みのため、1200本限定です。 「トラタン」とは取らぬ狸の皮算用に由来する造語です

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トラタン ひやおろし
1800ml
  2,205円【税込】

生もと 純米吟醸新発売!

生もとで醸した清酒の特徴は、一般に酸味が強く、力強い味わいであると言われます。淡麗でソフトな酒質が特徴の弊社が醸す「生もと 純米吟醸」は、生もと特有の力強さと、五橋らしさを兼ね揃えた仕上がりとなっています。そのため、吟醸酒はひや(または冷酒)で楽しむというのが一般的ですが、この「生もと 純米吟醸」はお燗(ぬる燗)でも十分楽しめる酒質になっているようです。季節もちょうど初秋。古より、9月9日の重陽の節句を過ぎるとお燗でお酒を楽しむのが慣わし、とあります。「吟醸酒をお燗するなんてもったいない」などといわれずにぜひ一度ぬる燗でお楽しみください。

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10月8日発売開始
720ml詰
2,625円【税込】

純米酒飲みくらべ頒布会

今年11月~翌年1月の3ヶ月間にわたり、山田錦、穀良都、イセヒカリ、晴るる。そして新酒、古酒。6種類の純米酒の飲みくらべ頒布会を行います。これはまさに、米にこだわり続けてきた弊社の集大成。こだわりの頒布会です。

原料米の違いが酒質にどのような影響をあたえるのか、しぼりたての新酒と洞窟貯蔵の5年古酒とはどれほどの違いがあるのか。普段ではなかなかできない飲み比べ。ぜひこの機会にお試しください。また、山口県の地酒にはきっと地元の肴があうはずです。県産の肴とのセットでお届けいたします。貴方の舌でお確かめください。

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720ml×2本(肴付き)3,000円【税込】

11月 山田錦と穀良都のセット
          (肴)鮎の錦煮
12月 イセヒカリと晴るるのセット
          (肴)フグ磯焼き フグひれ
 1月 搾りたてと5年古酒のセット
          (肴)焼きぬき蒲鉾

お問い合わせは最寄りの小売店または酒井酒造まで。

(写真はイメージです。予告なく変更することがあります)

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