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蔵元だより

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其の52 奈良漬

留粕、踏み粕、練粕と、地方でさまざまな呼び名で呼ばれている粕があります。上槽後に出た粕をタンクに入れて再醗酵させた漬物用の粕です。この留粕で漬けた漬物で有名なのはなんといっても奈良漬。「奈良漬」は今や全国の粕漬の代名詞になっています。

余談ですが、奈良以外の土地で粕漬が作られても、やっぱり「奈良漬」と呼ばれます。奈良漬の材料は酒粕、塩のほか白瓜というのが一般的ですが、現在では、なす、きゅうり、大根、人参など多種にわたっています。奈良漬は酒の歴史と共に、古くから粕漬けとして上流社会で珍重されてきました。奈良漬の原型といわれる「粕漬瓜」は、「延喜式」にも出てくる伝統的な漬物。「粕漬瓜九斗」「粕漬瓜一石、粕茄子等」の記述が見受けられます。中世江戸時代には「花丸瓜、あさ瓜、白瓜等」と種類も多くなっており、やっぱり瓜を漬けたものが多かったようです。

現奈良市平城宮跡付近の長屋王(684~729年)の邸宅跡から多くの出土品と共に『進物 加須津毛菰 加須津韓奈須比...(たてまつりもの かすづけものうり かすづけのからなすひ)』という文字が書かれた木簡が発見されました。これが奈良漬に関する最古の記録だといわれており、粕漬は1300年以上の昔から作られていた食べ物だったことが明らかになっています。加須津とは、粕漬すなわち奈良漬のこと。漬けた材料は、毛菰(モノウリ=冬瓜)、韓奈須比(カラナスヒ=現在のモギナスの原種?)など。加須津の「津」の文字が「ものをひたひたにする」という意味を持つことから、現在の酒粕とは違い、どぶろくの下に溜まった醪の中に塩漬け野菜を漬けていたと推測されています。当時は上流階級の保存食、香の物として珍重されていたようで、当時から奈良漬は高級漬け物であったようです。

奈良漬という名が広く知られるようになったのは、江戸時代になってからのことだそうです。奈良で漢方医を営んでいた糸屋宗仙が、大阪夏の陣で奈良に出陣した徳川家康に自慢の白瓜の粕漬を献上したところ、家康はそれを大いに気に入りました。家康は天下を取り江戸に戻ってからもその味が忘れられず、宗仙を奈良から呼び寄せて、粕漬け造りの幕府御用商人にさせたそうです。やがて、野菜、果実類の粕漬を「奈良漬」と呼ぶようになりました。鼈甲色(べっこういろ)をした現在とほぼ同じような奈良漬が確認されたのは江戸初期のことだということです。酒は古くから神にささげる特別なものとして崇められていましたから、その酒の副産物である粕に漬ける粕漬けもやっぱり特別なものとして認識されていたようです。最近では粕そのものの量が減っています。また昔のように家庭で漬物をつけるという風習も少なくなってきているようですが、奈良漬は日本の食文化に根ざした伝統的な漬物です。瓜の奈良漬の作り方(右頁参照)をご覧になってぜひ奈良漬作りにチャレンジしてみて下さい。 ※弊社では奈良漬け用粕(留粕)を6月上旬から販売開始いたします。

素朴な質問  奈良漬を食べただけでも「飲酒運転」になるのでしょうか? 答 法律でいう「酒気」とは、日本酒などの酒類に限らず「アルコール分」を指しています。従って、奈良漬を食べて顔が赤くなるなど、通常以上に酒気を帯びた状態になって車を運転すれば「飲酒運転」になります。ちなみに、奈良漬10g(約1切れ)のアルコール分は0.4%ほどです。 【参考:酒気帯び運転の定義】酒気帯び運転(呼気1リットル中のALC濃度0.15mg以上)1年以下の懲役又は30万円以下の罰金

瓜の奈良漬の作り方

【材料】白瓜・・・4㎏、留粕・・・4㎏、塩・・・1kg、清酒<お好みで>・・・適量

  • <作り方> ワンポイント・・・瓜は漬け物用の身の厚いものを選びます。
  • ① 瓜を傷つけないように布を使って洗い、ザルにあげる。白瓜を縦2つ割りにして種を取り、乾いた布で良く拭く。
  • ② 塩漬け 切った瓜の窪みに塩をたっぷり詰め込んで、そのまま切り口を上向きにして並べる。最後に蓋をして重石をのせ、5日程置く。出てきた塩水を捨て、乾いた布で良く拭く。
  • ③ 下漬け 漬け桶の底に留粕を2cm厚に敷く。(酒粕はお好みにより清酒を適当に加え、練り合わせてご使用下さい。)瓜の窪みに酒粕を詰め、窪みを上にして瓜が触れ合わないようにして、粕床の上に並べる。一段並べ終わるとまた留粕を敷き、瓜を並べて留粕を敷く、を繰り返す 。 ※漬けるのは一度(下漬けの段階)でも十分食べられます。そのときは一ヶ月ほどで食べられるようになります。
  • ④ 中漬け 下漬けした2~3週間後、瓜を取り出し新たな「粕床」に漬け直す。③の粕を手で落とし、新しい粕で同じように漬ける。このとき塩は使わない。漬け終わるとラップで覆って蓋をし、重石を乗せて、冷暗所に置いて1~3ヶ月。
  • ⑤ 上漬け 中漬けした瓜を取り出し、新たな「粕床」に漬け直していきます。こうすることで白瓜の強い塩分がぬけ、かわりに粕の持つ独特の旨み、有機酸やアルコール分が増えて、あの奈良漬独特の風味が生まれます。

※この作り方はあくまでも一例です。漬ける日数や塩の量など調整して、ご家庭の味作りにチャレンジしてみてください。 参考文献;酒粕の凄い特効 宙出版

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