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蔵元だより

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其の28 酒と神様

古代の日本人にとって神は、人々に災いをもたらす畏怖すべき荒魂(あらみたま)の神と、平和と幸福を保証する和魂(にぎみたま)の神の二通りがありました。最初に意識されるのは荒魂の神で、自然災害等はこの神の仕業と認識されていたようです。日本書紀に登場する素戔鳴尊(スサノオノミコト)の八岐の大蛇退治もその一例といえるでしょう。

やがて人は神を鎮めるために酒を供えて祭を行うようになります。その神事の後で人は酒を口にし、[直会(なおらい)]酔いを覚えます。普段とは違う非現実的な感覚に、神の能力が宿ったかのような錯覚を起こし、神との一体感を高めるのです。神と人、そして酒との接点はここにありました。

「よりよい酒造りのために」ここにも神は登場します。酒つくりは微生物学的にかなり高度な技術を必要とします。神頼みというわけではありませんが、酒神の力を借りて美酒を醸していという考えは当然のように起こりました。酒造技術が発達した今なお、酒造の成功と安全を神に祈願します。特に梅宮神社(京都府)、大神神社(奈良県)、松尾大社(京都府)は代表的な社であり、多くの酒造家の信仰を受けています。  「酒をあがらぬ神はない」といわれるように神と酒の関係は深いものです。そして皆様も。だってお客様は神様なのですから。

神稲イセヒカリ

平成元年春、伊勢神宮の神田で「驚異の稲」が発見されました。この伊勢地方を襲った二度の台風で、神田のコシヒカリが倒伏する中、水田中央に二株だけ直立する稲株がありました。「イセヒカリ」誕生の瞬間です。

ではイセヒカリはどのようにして生まれたのでしょうか。コシヒカリの突然変異だという説は遺伝学者によって「何十万分の一の確率」と否定されました。自然交配の可能性が高いというのです。母親はコシヒカリだとして父親は・・・?ここで驚くべき品種が候補として挙げられます。その品種とは「瑞垣(みずがき)」。昭和期最初の式年遷宮の翌年、昭和5年秋に神田神域で発見された稲です。昭和の御代替わりに生まれた瑞垣、そして平成の御代替わりに生まれたイセヒカリ、この両者の点と点が線で結ばれたとしたら・・・。「神様のいたずら」という表現はあまりにも陳腐でしょうか。

イセヒカリが「驚異の稲」と称される理由はその性質からも見出せます。まず食味値が抜群に高いということ。山口県の奨励品種は食味値が70以上だということですが、平成10年産イセヒカリは90%が食味値80を越し、最高はなんと103だったというデータもあります。そして蛋白含量が低いということ。低蛋白米で醸す酒は一般に雑味が少なく、きれいな酒に仕上がるといわれています。平成9年産イセヒカリのデータには酒造好適米より蛋白含量が低かったものの存在も報告されています。「食べてよし、飲んで良し」かつてこのような米が存在したでしょうか?さらに茎が太く短いため台風害に強い。反収が10俵を越える収量の高さ。農薬を必要としない耐病虫害性など、どれをとっても常識をはるかに超越した奇跡の稲。

「驚異」「奇跡」これらの形容詞が大げさでないことはイセヒカリと接した時に分かるでしょう。「神稲」と表現する人がいることもうなずけない話ではありません。イセヒカリ、これからどんな奇跡を起こしてくれるのでしょうか。  ※式年遷宮;神社で一定の年に新しい神殿を建て、祭神を移すこと。伊勢神宮では21年ごとに行う。

イセヒカリ純米酒 周防豊穣

平成12年春、全国に約2000といわれる酒造場の中、わずか二場でイセヒカリを原料米にした酒が醸し出されました。一場は長野県の酒造場、そしてもう一場は弊社、酒井酒造(株)です。

「周防豊穣」と名付けられたこの商品は伊勢神宮の神嘗祭、山口大神宮での式年遷宮に奉納したあと、平成12年11月1日より発売しております。新しい年の幕開けは神の酒(失言でしょうか?)「周防豊穣」でお祝いしませんか?

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