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蔵元だより

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其の27 21世紀の酒つくり

そして新世紀へ

明治、大正、昭和そして平成と4つの時代を経て20世紀はその幕を閉じようとしています。20世紀の幕開けは明治34年。江戸前期までに酒造りの形態はほぼ確立していましたから、20世紀の酒造りは技術革新、科学理論の確立、作業の効率化の世紀だったといえるかもしれません。

この100年間で酒つくりは大きく変化しました。おそらく19世紀の酒造関係者は現在の状況を予想することはできなかったでしょう。同じように私たちも100年後の状況を予想することは出来ません。ただ、想像することは出来ます。21世紀の酒つくりはどのようになるのでしょうか。

あまりにも漠然としていますが、酒造業界を取り巻く環境は間違いなく21世紀に激変します。酒税法の大改正が行われることも考えられますし、ビールやワインをはじめとする他酒類間の競争激化も当然起こりえます。現在全国に約2000あるといわれる酒造メーカーも統廃合により、その数は減少することになるでしょう。

こうした中で日本酒そのものも大きく様変わりしていくものと思われます。現在もその兆候はありますが、大手メーカーと中小メーカーのすみわけがはっきりしてくるようになるでしょう。大手メーカーの価格訴求型の商品と、中小メーカーの品質訴求型の商品です。大手メーカーの大量生産と作業の効率化を軸とする徹底したコストダウン。国産米よりはるかに安い輸入米や、遺伝子操作による無蛋白米の使用まで想像すれば飛躍しすぎでしょうか?

中小メーカーは品質の更なるグレードアップを図ります。必ずしも高精白を軸とする吟醸酒中心ということではありません。抽象的な表現ですが、日本酒の本来の姿を求めるということです。まず米にこだわるということです。「良い米が良い酒になる」わけですから酒米栽培農家との協力は不可欠でしょう。そして良質の水の確保。「銘酒は名水から生まれる」のですから。そして人。酒造りは人と微生物の共同作業です。麹や醪の微妙な変化には経験と研ぎ澄まされた感性が必要です。決して機械にできる芸当ではありません。

日本酒の未来はどうなるのでしょう。目を閉じて想像してみて下さい。そこには米、水、人が三位一体となったすばらしい酒が醸されていますか。それともFA化された工場で輸入米や遺伝子組換えの米が酒として加工されてますか?そう遠くない未来に答えはあります。

文明の酒と文化の酒

文明の酒と文化の酒という表現があります。前者は日本酒を、後者はワインを指します。文明とは、また文化とはどういう意味なのでしょうか?

手元の辞書には文明とは「人類が科学の力により自然物質を加工、改良し物質的生活を発達させた状態」、文化とは「人類が自然を材料とし、一定の目的に従って理想を実現していく過程」とあります。このことからすると、日本酒は裏打ちされた理論と卓越した技術で醸される酒。ワインは精神的な何かを充足させるべく醸される酒。こんな感じで理解できるでしょうか。

また英語では文明をCivilizationといい、都市化という意味が含まれています。そして文化はCulture。農家を意味するAgricultureを語源に持つこともあり、栽培という意味を含んでいます。

ここで少し考えてみようではありませんか。日本の主要農作物を主原料とする日本酒が文明の酒と表現されている事実を。確かに世界にも例をみない並行複醗酵という複雑な醗酵形態をもつ日本酒の醸造には機械化や近代化は不可欠だったでしょう。しかし、日本酒の主原料はあくまでも米です。「咲け作りは米作りから」の基本があれば、清酒製造業を2次産業でなく、製造業と農業の中間的性格を有する1.5次産業と認識できるようになります。高度な機械化だけで高品質の酒を醸すことができるわけではありません。まずは良い米、良い水、杜氏や蔵人の経験や技術、そしてそれらを補う機械設備。あくまでも米が中心です。日本酒は工業製品であってはなりません。大陸から水稲農耕が渡来して以来、日本人の根幹にあった米で醸す酒ですから日本酒は日本の文化なのです。そして弊社で醸す酒は文化の酒でありたいと思います。

五橋初しぼり限定発売

今年度の仕込みも順調に進み、いよいよ第1回目のしぼりが近づいてきました。蔵人が思わず「美味い」と唸る酒。「初しぼり」は12月9日発売です。

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