工程3
底板削り
ようやく底板へ。側板が甲付を使ったのに対して、底板は全て赤身を使う。
厚みを揃えるために削り、角度を直角にするために削り、表面をなめらかにするために削り...。
ここ工程は機械での作業。底板ハギつけ
底板も側板のときと操同様の作業でハギつけていく。
ただ、側板と違って重いため、横にして2人で息を合わせながら叩き込んでいく。底板切り
アリをかいた部分の円周を測り、その長さに合わせて底板を切っていく。
今でこそ、写真のように上から吊るし、クルクルと回転しながら楽に切ることができるが、
昔はこのようなものがあるわけもなく、ウデのある職人だけの仕事だった。タガ入れ
ついに竹タガを入れ、締めあげていく。竹タガは編みながら桶に巻きつけていくものだと思われがちだが、実際は写真のように、輪として出来上がったものを木槌で叩き込んでいく。輪が小さすぎては入らないし、大きすぎてはすぐにゆるんでしまうという、加減の難しいところ。それ以上に難しいのが叩き込み。輪を叩けばいいだけなのだが、コントロールが難しいのだ。
底板入れ
逆さになっていた桶を起こし、底板を入れていく。
まずは少しずつ木槌で軽くたたいていき、底が平らに入るよう調整する。底込み
いよいよ本組みの最後、底込み(別名:胴突き)。
桶の中に1人入り、上に2人が立って一本の木を掛け声と共に持ち上げ、底を突いていく。
この作業、桶の中に入る人が一番責任重大なのだが、上に立つほうも数cmの幅で、移動しながら木を持ち上げるという、なかなか高度なテクニックを要するのだ。最終仕上げ
桶の形は完全に出来上がり、ウッドワークの皆さんと総出で最終仕上げを。
角を取り、カンナをかけ、タガをバーナーで焼き・・・と、見た目を整えていく。
「まるで娘を嫁に出す気分だな」と笑う職人さんも。10日間かかってやっと出来上がった桶の最終工程。みんな笑顔があふれている。
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ついに完成!!
つい1年前まで、山口県の錦川上流にそびえ立っていた杉が、こんなにも立派な桶に。
これから20~30年、五橋で大活躍!
『桶屋の挑戦』(中公新書ラクレ)/加藤薫(著)にて酒井酒造が取り上げられています。